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AI活用 2026.08.01 読了 9分

AIを使う前に、社内のデータとネットワークはどこまで整えるべきか

ファイルサーバーが散らかったままAIを入れても回答は当たりません。着手順と、回線・Wi-Fiで先に潰しておく前提条件を整理します。

AIの回答が当たらない原因は、たいていAIの外側にある

「社内文書を読ませたのに、的外れな回答しか返ってこない」というご相談をよくいただきます。モデルの性能を疑う前に確認したいのが、読ませている側の状態です。同じ規程の新旧が3世代並んでいるファイルサーバーを指定すれば、AIはどれが最新か判断できません。人間が「これは古いやつ」と暗黙に読み飛ばしていた情報を、機械は等価に扱ってしまいます。

つまりこれまで人の記憶で吸収していた曖昧さが、AI導入で一気に表面化するという構図です。裏を返せば、整理の効果が最も出やすいのもここです。

全部を整える必要はない。着手順を決める

「まずデータ整備から」と全社のファイルサーバーに手を付けると、たいてい終わりません。AIに読ませる範囲だけを先に切り出すのが現実的です。

  1. 対象を1業務分に絞る——問い合わせ対応なら、製品マニュアルとFAQだけ
  2. 最新版を1箇所に集める——「_最新」「_v3」「(修正)」が混在するなら、1本に決めて他は別フォルダへ退避
  3. 形式を揃える——スキャンしただけのPDFは文字として読めないことがあります。テキストが選択できるか確認を
  4. 権限を確認する——全社が読める場所に人事情報が置かれていないか。AI経由で参照できてしまいます

目安:1業務分なら文書50〜200点程度に収まることがほとんどです。この規模なら数日〜2週間で整理できます。全社1万点を対象にすると年単位になり、その間に成果が出ないため社内の熱が冷めます。

先に潰しておきたいネットワーク側の前提

データが整っていても、回線とWi-Fiが細いままだと体感は改善しません。特に次の3つは、AI利用が増えると顕在化します。

1. 会議室と執務エリアのWi-Fi

音声・画面共有を伴うAI会議ツールを使い始めると、1人あたりの通信量が増えます。アクセスポイントが数年前の規格のままだと、人が集まる会議室から先に詰まります。台数を足す前に、電波調査で「どこが弱いのか」を測ってから判断した方が、結果的に安く済みます。

2. 上り(アップロード)の帯域

ファイルをAIに読ませる用途は上り方向の通信です。一般的な回線は下り重視の設計になっているため、下りは速いのに資料の読み込みだけ遅い、という現象が起きます。契約プランの上り速度を一度確認してください。

3. 拠点間・在宅からのアクセス経路

VPN経由で本社のファイルサーバーを参照している場合、その経路がボトルネックになります。AI利用を機に、対象データだけクラウドストレージへ寄せる判断も選択肢です。

やらなくていいこと

逆に、初期段階では手を付けなくてよいものもあります。

進め方のまとめ

時期やること確認するもの
1ヶ月目対象業務を1つ決め、文書を1箇所に集約最新版がどれか判別できる状態か
1〜2ヶ月目会議室のWi-Fiと回線の上り速度を実測体感の遅さが再現するか
2〜3ヶ月目少人数で試用し、回答精度を記録外れたときの原因が文書側か質問側か
3ヶ月目以降対象業務を隣の業務へ広げる同じ手順が再現できるか

データ整理とネットワークの見直しは、担当者が本業と兼務のまま進めると止まりがちな工程です。電波調査、アクセスポイントの設置、クラウドストレージへの移行と権限設計は、実作業ごと外部に出せます。

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