古いPCを使い続けるコストを、実際の数字で出してみる
本体価格だけ見ると買い替えは高く見えます。起動待ち・故障対応・情シスの工数まで含めて、5年分を試算しました。
「まだ動くから」で判断すると、見えない支出が積み上がる
PCの買い替えは本体価格が目に見えるぶん、後回しにされがちです。一方で古いPCを使い続けるコストは、起動待ちの時間や故障対応の工数といった形で分散して発生するため、決算書のどこにも「古いPC代」としては現れません。判断のために、分散しているコストを一度1枚に並べてみます。
3つのコストを5年で見る
ここでは社員20名・1人1台という前提で、20万円のノートPCを5年使う場合の内訳を試算します。金額は一般的な水準で置いた概算で、実際の構成やご利用状況によって変わります。
| 項目 | 算出の考え方 | 5年・20台の概算 |
|---|---|---|
| 本体費用 | 20万円 × 20台 | 400万円 |
| 待ち時間 | 1日10分の待ち × 240日 × 5年 × 時給3,000円 | 1,200万円 |
| 故障・修理対応 | 年2台の故障 × 5年 × 対応工数と代替機手配 | 100〜150万円 |
| 情シスの運用工数 | OS更新・トラブル一次対応の増分 | 80〜120万円 |
目を引くのは待ち時間です。1日たった10分の遅さでも、20人・5年では約4,000時間になります。時給換算3,000円で1,200万円。本体費用400万円の3倍で、買い替えを1年遅らせるごとに約240万円が消えていく計算です。
ご自身の数字で置き換えるには:「1日の待ち時間(分)× 年間稼働日 × 台数 × 5 ÷ 60 × 時給」で概算が出ます。待ち時間は、起動・大きなファイルを開く・Web会議中の重さを合算して見積もってください。実感として1日5分でも、20台なら5年で2,000時間です。
買い替え時期の見分け方
体感は人によってぶれるので、次のどれかに当てはまったら検討の合図と考えると判断しやすくなります。
- メモリ8GB——Web会議しながら資料を開くと明確に重くなる水準です
- ストレージがHDD、または空き容量が2割を切っている——起動と保存の遅さの主因になります
- メーカー保証が切れている——故障時に修理か買い替えかで数日止まります
- OSのサポート期限が1年以内——期限直前は品薄と納期遅延が起きやすくなります
購入・リース・レンタルの使い分け
| 向いているケース | 注意点 | |
|---|---|---|
| 購入 | 5年以上使う想定。総額を最も抑えやすい | 資産管理と廃棄処理が自社負担になります |
| リース | 台数が多く、費用を平準化したい | 中途解約が原則できません |
| レンタル | 増員・短期プロジェクト・故障時の代替機 | 長期では割高になります |
実務では組み合わせが現実的です。基幹の常用機は購入、繁忙期の増員分と故障時の代替機はレンタル、といった形にすると、購入台数を抑えつつ業務停止も避けられます。
入れ替えで工数が膨らむのは「設定」の側
20台をまとめて入れ替える場合、機器の調達より手間がかかるのは初期設定です。アカウント作成、業務ソフトの導入、プリンタ・共有フォルダの設定、旧PCからのデータ移行、資産台帳の更新、そして旧機の初期化と廃棄。1台あたり2〜3時間として20台で40〜60時間、通常業務と並行すると1ヶ月仕事になります。
キッティングを外部に出すと、この工程を実作業ごと引き取れます。設定済み・ラベリング済みの状態で各拠点や在宅の社員宅に直接届けられるため、情シス側は受け入れ確認だけで済みます。
まとめ
- 古いPCの本当のコストは本体価格ではなく、待ち時間として分散して出る
- 1日10分の遅さは、20台5年で本体費用の約3倍に相当する
- メモリ8GB・HDD・保証切れ・OS期限1年以内のどれかが検討の合図
- 入れ替えの負担は調達より設定側。キッティングを外に出すと1ヶ月分の工数が浮く